宿毛産地インタビュー

宿毛産地インタビュー

株式会社大倉マーケティング事業部 勝井

現在、株式会社大倉は販路拡大を目的とし、全国各地の生産者や企業とのつながりを強化しています。

2023年12月に弊社でもお付き合いのある「生姜真鯛」の(有)マリンライナー/「荒木さん家のブリ」の株式会社勇進の2社に企業訪問を実施しました。その際のインタビューを掲載します。

目次

有限会社マリンライナー【生姜真鯛】

~構想から2年、美味しい魚を作りたいという思い~「生姜真鯛」

高知県宿毛湾は黒潮と豊後水道、松田川が流れ込む日本有数の海域。栄養豊富な水質は養殖に適しています。

そんな恵まれた環境の中、大切に育てられた「生姜真鯛」。

魚だけでなくそれに関わる人にも愛情を持って取り組みをされている武内社長にお話を聞きました。

有限会社マリンジャパン
  • 〒788-0034 高知県宿毛市大深浦2198-4
  • 有限会社マリンライナー代表取締役社長 武内重喜
  • 事業内容:マダイ養殖・販売 シマアジ養殖・販売

―「生姜真鯛」を作ったきっかけを教えてください。

「誰もが美味しいと言ってもらえる魚を作りたいという想いです。

高知という場所柄、関東・関西に魚を出荷する時、どうしても地理的な不利が生じます。新鮮さを一番に求めた商品作りに少し難しさを感じていました。そこで、魚を食べる時に一番に消費者の方が思うマイナスイメージである、「生臭さ」を軽減した商品で強みを持たせることを考えました。

生姜にはくさみを取ってくれるイメージがありますよね?高知県は生姜の生産が日本一なんです。

それを活用してみたらどうだろう、と取り組みが始まりました。」

―実際に商品化はどのように進んでいったのでしょうか。

―実際に商品化はどのように進んでいったのでしょうか。

「構想から商品化におよそ2年の月日の中で試行錯誤を重ねました。

最初は真鯛の切身に生姜エキスをスプレーしてみたり、、後に、生姜パウダーを餌に混ぜる方法が一番だという結果となりました。この餌に変えた事で養殖していた鯛はよりすくすくと成長し、本来の目的であった生臭さは減少し旨味が以前より強くなったんです。

それから生姜の調合を何度も試して今の生姜真鯛が出来ました。」

―周りの反響はいかがでしたか。

「『生姜真鯛』というネーミングは当初反対の声もありました。

生姜の味がするんじゃないか?など間違った伝え方にならないか、懸念された為です。しかし、生姜自体に悪いイメージがなかったこと、実際に食べてみた方の口コミもあり、後のヒットに繋がったと思っています。」

―「生姜真鯛」の養殖を行う中でのこだわっている事はありますか?

―「生姜真鯛」の養殖を行う中でのこだわっている事はありますか?

「餌の素材である生姜は、1年間で1ヶ月しか収穫時期がありません。その間に1年間分を契約した農家さんから仕入れています。

この量を安定的に仕入れる、ということはどの位出るかわからない、廃棄されてしまう生姜では足りません。私たちが普段口にするレベルの生姜を契約して年間で必要な分を仕入れをする必要があります。

その分のコストはかかりますが、こだわりのエサの安定的な供給に繋がっています。」

―なぜブランド化の取り組みが始まったのでしょうか?

「当社で働く従業員の意識改革に繋げたい、という想いがありました。

『生姜真鯛』に取り組む以前は、自分たちの育てた魚がどのようにどこで売られていくかどんな風に食べられているか、見えづらい部分が多かったと思います。

それが『生姜真鯛』としてブランド化することで、給餌の作業を始めとする養殖の携わる全ての業務の意識が変わると期待しました。」

―実際に、ブランド化して従業員の方はどのような変化がありましたか?

「自分たちで育てた、『生姜真鯛』があそこのスーパーで採用された、あのお店でお客様に提供されているんだ。などお客様に食べて頂くまでのプロセスをリアルに感じれる機会が多くなりました。

それによって鯛に対する、商品としての愛着が沸く事でより良い養殖に繋がりました。

例えば、過去に従業員を連れて東京シーフードショーへの出展はとても良い機会になりました。

東京フードショー

自社の生姜真鯛をPRするため、ブースでパンフレットを配ったりの目の前でお客様が試食され、美味しかったと言われたり実際食べてもらった感想や意見をもらいました。従業員はこの様な経験は初めてで、現場の意識は更に良い方向へ向かっていきました。

『作る努力』を大切にしてほしい、その思いが現場へ繋げる事ができたと思います。」

日本一幸せな従業員を作る

「日本一幸せな従業員を作る」

武内社長が携帯電話の待ち受け画面としている位、大切にしている言葉です。

日々、様々な選択を迫られる運営業務の中で迷いがある時は必ずこの言葉で会社の舵を取ってきました。

その時意識する事は「その選択は『楽しい』と思えるか?『笑う』に繋がるか?」

現場で働く従業員さんにも同じように意識してほしいとのこと。
歳を重ねても生涯楽しく働いてほしい、そんな環境を作っていきたい。とても義理人情に厚い武内社長の言葉。

さいごに

最近では「生姜真鯛」の取り組みについて取材を受けたり、TVメディアなどに出る事もあるといいますが、実はご本人はあまりメディア露出に当初遠慮をしていたそうです。

しかしそんな時、従業員の方がメディアの取材やTVの出演を大変喜んでくれ、社内はとても盛り上がったそう。それをきっかけにメディアの対応も武内社長が行うように。

ここでも愛のある武内社長の人柄がわかります。

メディア露出による問い合わせは、やはり多く宿毛の地域貢献、観光を盛り上げる事にもつながっていきました。

これからも多くの方に『生姜真鯛』食べてもらい、より知名度を上げて、関東での販売を広げていきたいとのことでした。

株式会社勇進【荒木さん家のブリ】

ブリ焼きたたき~細部までこだわって作ったブリ、沢山の人へ食べてもらいたい~

宿毛 荒木さん家のブリインタビュー
株式会社勇進
  • 高知県宿毛市新港1124番地9
  • 代表取締役 荒木 俊慶
  • 事業内容:水産養殖、卸売、加工業
荒木水産株式会社
  • 高知県宿毛市新港1123番地11

「荒木さん家のブリ」は大型の生簀で尾数を抑えて飼育する事で魚のストレスを軽減。餌にもこだわる事で、旨味が増し血合いの変色が緩やかになるなど一尾一尾の品質にこだわっています。

―「荒木さん家のブリ」を作ったきっかけを教えてください。

―「荒木さん家のブリ」を作ったきっかけを教えてください。

「父親は35年近く宿毛で養殖業を営んでいました。自分自身は10年前に宿毛へ帰り、育てたブリをブランド化してもっと多くの方に食べて頂きたいという思いから働きながら加工場を作りました。

高知県のブリは生産が盛んな愛媛県、九州の商品に比べて今一つ知名度がありません。そこで一つ勝てる強みが欲しいと考えブランド化に取り組みました。」

―「荒木さん家のブリ」の強みを教えてください。

水揚げ
―「荒木さん家のブリ」の強みを教えてください。

「個人の養殖業者としては全国的にも稀な業態で、養殖から加工までの一貫して運営をしている事で商品のこだわりが細部にまで行き届いています。

1年間通してこだわりの品質のブリを供給し続ける事が出来るのも大きな強みです。

大型の生簀内でのびのびとたくさん泳いで身の引き締まったブリは、夏場でも脂が乗っているのが特徴です。漁港併設の近さにある加工場では朝水揚げされたブリを船上で締め、加工してその日のうちに東京の豊洲へと発送されます。

その為鮮度が良い状態で東京へ出すことができます。」

「荒木さん家のブリ」は水揚げ後その日のうちに東京・豊洲に出荷

朝5時いけす

早朝の5時、加工場から船で5分ほど沖に出ると、「荒木さん家のブリ」の生簀があります。

約30万尾のブリがここで養殖されています。

まだ日が登る前から水揚げ作業ははじまります。この日に水揚げされたブリは400尾。荒木さん自ら従業員の方と協力して生簀のブリを船上へ水揚げしていきます。

そのブリは船上で一匹一匹締めてタンクへと収まります。
水揚げ後すぐに船上で活き締めすることによって暴れるブリの体温上昇を抑え、血合いや身の引き締まりが格段に良くなります。

加工場

水揚げと船上での締めが終わるとそのまま漁港に併設された加工場で午前中の内に加工、パック詰めまで終わらせ、その日のうちに東京・豊洲に出荷されます。

また、この加工場では藁焼きたたきの焼き場も併設されています。

絶品!「荒木さん家のブリ」の藁焼きたたき

絶品!「荒木さん家のブリ」の藁焼きたたき

「荒木さん家のブリ」の藁焼きたたきブリはなんと一本一本を手作業で藁を焼いています。表面を炙ることで、ブリが香ばしく焼かれ、風味が豊かになります。

高知県ではカツオの藁焼きが有名ですがこのブリの藁焼きたたきは脂の旨味も凝縮された絶品です。

自社で手間暇かけたブリをブランド化してより多くの方に食べてもらいたい!という荒木さんの活動は、各地の展示会出展にとどまらずSNSを活用した発信にも力を入れています。

一度ハマるととことんこだわりを持って何でもやってしまうという荒木さん。Instagramでは日々商品の紹介だけでなく、漁師の日常や荒木さん本人の日常を魅力ある動画に仕上げて更新されています。

このようなSNSの運用によって、荒木さんの下で働きたいという若い方もInstagramをみてやってきたそうです。

今後はより「荒木さん家のブリ」の知名度を上げるべくメディア出演などにも力を入れていきたいとの事でした。

さいごに

最後に

今回、豊富な自然環境に恵まれた宿毛市の水産物の魅力を「ブランド化」によって全国へ広げていきたい、という

2つの企業様のお話は大倉にとっても大きな収穫となりました。

ご多忙の中、ご協力いただきました高知県宿毛市の企業様に、心より御礼申し上げます。

今後とも長いお付き合いを何卒宜しくお願い致します。

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